ファド:セザリア・エボラ
セザリア・エボラの歌は、ファドというカテゴリーには収まりきれない様々な音楽要素が組み込まれているようです。CDの解説によれば、ポルトガルのファドやイギリスの水夫のはやし歌、そしてアフリカのリズムを混ぜ合わせて発展し、ブラジルの歌の形式の1つであるモディーニャの影響を受けたそうです。それというのも、彼女の生まれ育ったケープ・ヴェルデ諸島は、アフリカ大陸からアメリカ大陸への奴隷輸出の中継地だったそうで、かつてポルトガルの植民地でありイギリスの石炭採掘地という、奴隷と搾取という過酷な歴史を持ちます。
そんな謂われを知らずにセザリア・エボラの哀愁のあるしっとりとした歌声を聞くと、昨今の日本の流行語である「癒し系の音楽」と勘違いしそうです。石切山もCDのファドの棚にならんでいたので、なにげなく手に取り試聴したとき、同じ感想を抱ききました。
そのCDにはケープ・ヴェルデ諸島の荒涼とした風景が紹介されていました。それらは石切山の生まれた故郷の風景に少し似ていて親近感をもちましたが、その土地の歴史を知ることで、全然別の音楽に聞こえたから不思議です。不毛な大地に過酷な歴史が流れ、人々は幾度となく絶望の涙を流したはずです。
●セザリア・エボラ(Cesaria Evora)Sodade
日本の歴史に、過酷な年貢の取り立てに泣かされた農民達が「泣くのがイヤで笑ってござる」という古謡をつくっています。セザリア・エボラの歌う穏やかな歌声はそうした気分に似ているような気がします。彼女の歌は上空に舞い上がり、懐かしく、少しせつなく、石切山の生まれた故郷に誘ってくれます。




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